ヒッチハイクの文化や方法、旅行記を綴っています。カナダ北部での生活や文化も紹介。

05月06日其の4−熊狩りベースキャンプに招かれる

止まってくれたのは、地元のカナダ人の夫婦だった。
年は大体40代だと思った、二人とも
僕が日本人であることにすごく興味を持っているようだ。

「すごいわね、バンクーバーに行くんだ。」
「ええ。行った事ないんですか?」
「うん。海を見たこともないの。」
「え?」
「生まれたときからこの辺りに住んでいるから。まだ湖しか見たことないわ。」


カナダの地方の貧しい人は海を見たことがない、と僕の友人が言っているのを思い出した。
本当にいるのか、というような会話だった。


「私たちね、熊狩りのベースキャンプで生活しているの。ここから30分くらいなんだけど、日本やいろんな国から毛皮を買いにくるわよ。」
「そうなんですか。」
「あなた今日の夜はどうするの?」
「わかりません。」
「ヒッチハイクをしているかな?」
「でも昨日の夜は大変だったって話していたじゃない。」
「はい、でもここら辺にユースホステルなんかはないですし。」
「うちのキャンプ上に泊まっていきなさいよ。」


ここで男性が会話に入ってきた。


「おい、キャンプ場にはとめられないぞ、何言っているんだ。」
「何ってこんな時間にこんなところに放り出せないじゃないの?」
「キャンプ場より少し先の村で降ろせばいいじゃないか。」
「あそこには何もないわ!」
「ボスに何て言うんだ。」


どうやら、キャンプ場とその熊狩りのを指揮するボスの事を男性は気にしているらしい。
しかし、女性が言い伏せて僕をキャンプ場に連れて行ってくれた。


アラスカ・ハイウェイ沿いの寂れた看板のある道を曲がると氷結している湖が見えてきた。


うっすらと霧のかかる幻想的な湖がありその手前にキャンプというよりも移動できる簡易宿泊所の4,5あるキャンプ場についた。
ついたころは夕暮れ時で、辺りは深い青色をしていた。


そこには、独特の雰囲気があった
僕たちはまず、食堂に入ってボスを待つ。


そこには猟銃や熊の毛皮が壁に掛けられていた。
その地域の詳細な地形図もあり、本物のベースキャンプと言った感じだ。
中にはキッチンと丸い大きな会議用兼食卓が置いてあり、僕はその机の近くで貰ったお菓子を食べていた。


少し経つとボスが入ってきた。
いかにもカナダの田舎で鍛え上げられた中年の男性と言った感じで、少しアメリカの中部人のような話し方をした。


「おう帰ってきたな。(僕を見て)お、こいつは誰だ?新しいハンターじゃないよな。」
「いいえ、彼は...」
あの女性が僕の変わりに答えてくれた。


「そうか、まあ一晩休んでいけ。こんなところだが部屋だけはたくさんある。今はオフで人がいないからゆっくり休めるぞ。」
「どうもありがとうございます。」僕は答えた。


すると彼は最初の男性と何か真剣な話をしに行ってしまった。


僕と女性だけが残った。
「今から部屋を見せるはね。あ、洗濯物とかあったら今出したら?すぐに洗って乾かせるわよ。」
「ありあとうございます。でも、なんであなたは僕にこんなに親切にしてくれるんですか?」
「私にも娘がいるの。あなたよりも一つ年上だけど、イングランドで勉強しているの。あなたを見ていたら娘を思い出して...。」


そう彼女は言ってくれた。


その夜僕は彼女にキャンプを案内してもらい、洋服を洗ってもらってシャワーも借りた。
こんなに良くしてくれる人に出会うなんて本当に不思議だと思った。


昨日は草の上で寝ていたのに、今日は暖炉のある宿泊所。
人生は面白いと思った。
05月07日其の1−苦難の帰り道、暑い昼