ヒッチハイクの文化や方法、旅行記を綴っています。カナダ北部での生活や文化も紹介。

04月30日其の2−カナダの環境問題

「それで、何も持っていない時の必需品のもう一つは何ですか?」


「もう一つはビニール袋だ。」
「ビニール袋?」
「ああ、森の中で夜を越すときなんかは寝袋代わりになる。ビニール袋と言っても特大のヤツさ。それを2重にして中に入ればかなりの保温効果があるし、まず風はほとんど中に入らない。後ろのトランクに2,3枚ビニール袋が入っているから後で持っていきなよ。」
「いいんですか?ありがとう。」
「気にしないでくれ。ただこの季節はユコンみたいにもっと北に行けば熊が目を覚ます季節だから気を付けなよ。空腹の熊に会ったら最悪の事が起きるぜ。


彼の忠告には少し寒気がしたが、ヒッチハイクの知恵や熊の話しなんかはカナダ人そのものという感じで、少し楽しくなった。


1時間くらいするとやっとPrince Georgeに着いた。


すると彼が言った 「それでどうするかい?僕はこれからSmithersの前の町まで向かう。ここで降りてFort Nelson方向に行ってもいいが、Smithers方面に行くって手もあるんだ。」
「他の道もあったんですか?」
「ああ、ユコンまで続いている。Fort Nelsonは工業の町でWhitehorseやアラスカに行く車が多いからヒッチハイクはしやすいが、Smithersの道は景色がはるかに良い。どうする?」
僕は少し考えて答えた。
「ならSmithersに行きます。」
「そうか、それはいい判断だ。交通量が少ないのが難点だが、帰りに通るよりは良いからね。」
「どういうことですか?」
「それは帰りに分かるさ。」


彼が急に僕のガイドのように感じられてきた。
そのまま僕たちはPrince Georgeを抜けてSmithers方面に走っていった。


1時間くらいすると伐採されている森林が目立ってきた

「ここら辺はよく木を切っているんだ。カナダは世界最大の林産業を持っているからね。」
「そうだったんですか?」
「ああ、輸出のかなりの割合はアメリカに行っているんだが、日本にもたくさん行っていると思う。」
「そうだったんですか。知りませんでした。」
「もう少しでものすごい場所を見れるよ。初めてみたら驚くよあれは。植林もしているんだが、とてもじゃないけど間に合わないさ。タダでさえ温暖化でものすごい量の木が毎年倒れているのに。」


「温暖化で木が倒れるんですか?そんなことってあるんですか?」
「あるよ。ただ気温の高さが木をダメにしているんではない。このあたりの木にはある悪い虫がすんでいてね。木の内部を食い荒らしてしまうんだ。でも10年以上前までは冬の厳しい寒さでほとんどの虫が死んでしまったんだ。でも、最近は温暖化の原因でこの虫が冬に死ななくなってね、残った虫が酷い勢いで内陸中の木を倒してしまっているんだ。」
「そうなんですか。。。」


彼は本当に勉強になることを僕に教えてくれていた。

ただ旅行しているだけでは絶対にここまで深いその土地の情報なんて入らない。
ヒッチハイクではこういう風にその土地の話を聞けるのが素晴らしいなぁ、と僕は座りながら考えていた。


また少し走ると、森林の伐採場が見えてきた。
始めてみるそれは、信じられないくらい巨大な量の木が地面に横たわっていた。


本当に東京ドームと同じような大きさの木が整然と積み上げられている場所だった。
木を切り倒した後にまた何か切るための大きな機械があったが、その横には信じられないくらい大きな木屑が山のようになっていて、本当に驚いた。


その大きさといえば小さな山ほどだ。それだけ大量の木がここでは切られているのか、と実感した。
日本を含め、先進国の消費文化は最近では発展途上国にもうつり、世界中のビニールや紙の消費がここまで資源の搾取に繋がっているのかと車の中で考えていた。


僕たちはその場を無言で通り過ぎ、先へ向かった。